炭のチカラ
いつもより贅沢なアジの開きを購入しました。1枚1,050円を2枚。
ちょっと実験。1枚は炭火で、もう1枚はガスオーブンで。
どれだけ違うのか?味にどのていど差があるのか?
炭は成形木炭ではなく、小坂町森林組合のマジメな木炭。炭の力ってすばらしいです。素材の風味を何倍にもします。素材のうまみを炭が引き出してくれるんですね。香りも最高です。これなら2,000円出してもイイかな、飛騨牛に負けていない味だなと感じました。主観ですが2倍の価値になるのです。1匹をあっという間に食べてしまいました。
一方のガスオーブン。下の写真ですが見映えは悪くありません。美味しい物を食べ終わったあとだけにがっかり。味と香りはかなり劣っていました。というよりちょっと生臭い。夫婦お互いに「美味しくな〜い。もういらない。全部食べていいよ」
値を付ければ500円。価値は半減でした。それだけ食べていればいいんでしょうが。結果4倍の価値の差があったわけです。
炭火をおこすのはとても手間がかかります。文明はスイッチひとつでお手軽に何でもできます。でも失うものも多いんですね。そりゃあ江戸時代にイタリアンとかフレンチとか中華なんてなかったけど、お米も魚も昔の人の方が美味しく豊かな食生活では。
ちょっと調べてみました。
魚や肉の炭火焼きの美味しさには理由があります。魚や肉のタンパク質は約90℃以上になると固く焼き締まり、うまみのある肉汁が絞り出されるようにして失われてしまいます。タンパク質に火を通すには、加熱温度は85℃くらいで充分です。とはいえ、低温で焼くと焼き上がるまでに時間がかかってしまい、その間にうまみは逃げ出してしまいます。その点、炭火で焼くと遠赤外線が表面のタンパク質を高温で焼き固めるので、肉汁は中に閉じ込められます。さらに、その熱がほどよく中に伝わるので、外側はパリッと焼き目がついて香ばしく、中はふんわりと焼き上がり、うまみもキープされるのです。
また、落ちた焼き汁が炭に当たって煙が立ちのぼり、煙でいぶすような風味も加わります。こんな作用が炭火焼き料理のおいしさにつながっているのです。